不眠症には大きく5つのタイプに分類されます。まず、あなたがどのタイプに当てはまるか見てみましょう。
入眠障害
夜は必ず11時には床につくようにしているのに眠れない。本を読んだり、携帯電話をいじったり、お酒を少し飲んでみても眠れない。時計をみると1時2時。明け方にやっと眠っているようだ。
熟睡障害
規則正しい生活で、睡眠時間もタップリだけれども、全く眠った感じがしない。熟睡感がない。だから日中はボーっとしてしまう。以前は睡眠時間そのものが短かったのに、起床後はすっきりしていた。
中途覚醒
夜中にかならず目が醒めて、その後はもう眠れない。布団の中で悶々としているうちに朝になってしまう。寝た気がしない。
早朝覚醒
朝の目ざめが早すぎる。4:00頃には目が開いてしまう。鳥が鳴いたり新聞配達の音を聞きながら、本を読もうとしてもぼーっとしてしまうし朝食にも早いので何をするわけでもなく、辛い。
過眠症
特別に疲れているわけでもないのに、大事な会議や試験の時でもあくびをしてしまったり強烈な眠気に襲われる。いつも起こって悩んでいる。
不眠の場合はまず、仕事や家庭生活でのストレスや心配事、「今夜も眠れないのではないか」「8時間眠らなくては」と、眠れないことや眠ること自体がプレッシャーとなってしまうことなど心理的なものがあげられます。
次に考えられるのが、24時間制社会からくるもの。夜昼交代制のシフト勤務や時差勤務、夜遅くまで起きていることで、生活のリズムが乱れます。人間の体には、日が昇って明るくなると目覚め、暗くなると眠るという体内時計が備わっていますが、生活リズムが乱れると体がそのリズムに順応できなくなり、体内時計に狂いが生じて不眠になってしまうのです。
また、寝室の騒音や照明、温度や湿度、寝具などの環境的なことが原因で安眠できないこともあります。そのほかの原因として、コーヒーなどカフェイン入りの飲み物やアルコール、タバコ(ニコチンには覚醒作用があります)などの摂りすぎ、寝る前に長時間テレビゲームなどをして脳が興奮してしまうこと、気管支喘息、皮膚のかゆみなどの病気で睡眠を妨げられること、うつ病や神経症などの精神疾患によるもの、などがあげられます。特に早朝覚醒の場合、年をとるにつれて眠りが浅くなることや、うつ病などの精神疾患が関係する場合もあります。
それから、運動不足。休日に家でゆったりくつろいだつもりなのに、月曜日の朝が辛いなんてこと、身に覚えがありませんか。これは、肉体的疲労がないために睡眠の質が落ちているからです。
入眠障害タイプの場合
- 入浴は38から39℃のお湯で20分間位で終わるようにする。
- 入浴直後は眠りに入りにくいので、火照りを鎮めてから眠る。
- 夜間の運動は避ける。
- 夜遅くに食事をしない。
熟睡障害タイプの場合
- 日中になるべく運動することを心がけ、昼夜のメリハリをつける。
- 休日だからと寝坊せず、起床時間を一定にする。
中途覚醒タイプの場合
- 眠るときの動作を一定にする。
- 寝室、寝具を始め眠り易い環境を作るよう、心がける。
- 睡眠時間の長さに拘らない(1時間半の倍数が睡眠時間の目安です)
早朝覚醒対応の場合
- 別室へ移動して、眠り始めてみる。
- 思い切って起床してしまい、早朝散歩や軽い体操を始める。
過眠症タイプの場合
- 単純な睡眠不足、特別に疲れているわけでもないのに日中の眠気がひどい場合はお医者さんに相談しましょう。
睡眠時間は人それぞれ
よく8時間は寝なくてはならないと言われたものですが、適正な睡眠時間は人それぞれです。大切なのは時間ではなくその睡眠の質なのです。たくさん寝ようと意気込む必要はありません。また、老化で睡眠時間が短くなるのは普通のことです。あまり心配することではありません。
快眠をつくる
夕食は控えめに。また夕食後、覚醒作用のあるカフェイン摂取は寝付きを悪くしてしまいますので避けましょう。
寝具にも、自分が心地よいと感じるものを選びましょう。眠る空間作りも大切です。照明、音、匂いなど、不快に感じるものは改善を。
リラックスして、無理に寝ようとしない
寝ようと意気込むのは逆効果。自然な眠気を誘うために、読書、ストレッチ、音楽や香りを楽しむなどしてリラックスしましょう。
朝日を浴びる
毎日同じ時刻に起床しましょう。早起きは早寝に通じます。休日に遅くまで寝床で過ごすと翌日の朝がつらくなりますので、起床時間はいつもの同じにし、朝日を浴びて体内時計をリセットしましょう
睡眠障害の中でも不眠に関しては、生活習慣を見直すことで改善できると言われています。
光療法(適切な時間に明るい光をあてる治療法):生体時計を正常な状態にリセットすることができます。
睡眠補助剤(催眠薬):睡眠障害が日常生活の妨げとなっていて、健康であるという意識がもてない場合は、睡眠補助薬を1週間以内の期間で間欠的に服用すると役に立つでしょう。ほとんどの睡眠補助薬は処方せんが必要です。処方せんなしに購入できる市販薬には、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンやドキシラミンが含まれています。これらの薬には副作用があり、特に高齢者で起こりやすくなっています。睡眠補助剤は安易に服用せず、医師の診断にしたがってください。
他、情緒的な原因については、うつ病である可能性もあり,その場合はうつ病の治療をすることで睡眠障害も軽減することがあります。リフレッシュできるよう、趣味に没頭したり、体を動かすよう心がけることも大切です。
睡眠障害は誰にでも起こる可能性があるもの。一人で悩まず、医師に相談したり、良い睡眠をとるためにできることから取り組んでみましょう。良い睡眠で健康的な毎日を!