通状の検診では空腹時(前日20時以降飲食をせず、翌朝飲食前)の血液検査で血糖値が110mg/dL以上の場合に糖尿病の疑いありとして、「ブドウ糖負荷試験」という検査を進められます。
「ブドウ糖負荷試験」というのは、日を変えてやはり空腹時に75グラムのブドウ糖を溶かしたサイダーのような飲み物を飲んで、飲む前・30分後・1時間後・2時間後(4時間後を計る場合もあるようです)の血液検査により血糖値を計ります。
空腹時血糖が126mg/dLで、「ブドウ糖負荷試験」の2時間後血糖が200mg/dL以上のいずれか、もしくは両方を満たした場合には「糖尿病型」と判定されます。
空腹時血糖が110mg/dL未満で、任意で受けた「ブドウ糖負荷試験」の2時間後血糖が140mg/dL未満の場合は「正常型」と判定されます。
そのどちらにも属さない場合は「境界型」と判定され、いわゆる予備軍とされます。
ちなみに正常な人の血糖値は空腹・満腹を問わず70~140mg/dLに収まっています。
尿検査での「尿糖」の検査もあり、尿に糖が出るのは個人差もありますが血糖値が170mg/dL前後を超えると尿等が出る(+となる)ので、「糖尿病型」と判断されるでしょう。
また、通状の検診では行われないことが多いでしょうが、Hb(ヘモグロビン)A1Cという検査(これも血液検査)で診断する場合もあります。HbA1Cは検査の時点から過去1~2か月の血糖値の平均値を示す値で、検査の時点で血糖値が正常域だとしても、HbA1Cが高ければ、過去1~2か月は血糖値が高い状態で推移していたと判断できるので、糖尿病と診断される目安になります。
(HbA1Cの正常値は4.7%~5.8%です)
空腹時血糖が110mg/dL以上であれば、前記の検査を受けられた方がいいと思います。早めに対処すれば食事療法で改善できますから。
以上はほぼ2型糖尿病の方に当てはまります。
以下余談になりますが参考までに。
私は3年半前の4月半ばに季節外れのインフルエンザにかかり、「ただの風邪だろう」と市販の風邪薬を飲みながら仕事を続け、1週間ほどしてから病院にいきインフルエンザと診断され、タミフルの処方で熱は下がりましたが、その後なんとなくすぐれない日々が2週間ほど続いたあと、5月中旬から異常な喉の渇きと多尿・体重の減少が始まり、1日に10ℓ以上の水分補給と、30分おきの排尿(それこそ飲んだらすぐ出てきてしまう感じで、夜も眠れない)、1日1kgの体重減少が続き4日目の夜には72kgあった体重が68kgになっていました。(それまでは20年以上身長178cmで体重72±1kg、BMI=22~23を逸脱したことはありませんでした)。
この間食事も普通にとっていましたし、ダルさはありましたが仕事に支障をきたすこともなく通勤していましたが、「仕事の疲れだろうなぁ」くらいに考えて、5日目の朝にも仕事へ行くのに髪を整えるために鏡を覗いたところ、そこには髑髏の様な自分の顔が映っており、さすがに「こりゃただ事じゃあないかも」と体重を量ったら64kg、前夜より4kgも減っていました。
たまたま前日仕事が一段落していたので、午後からは出社するつもりで近所の中規模総合病院へ簡単に診察してもらうつもりで行きましたところ、診察してくれた医師曰く「あなたは元気そうだから大丈夫だよ」と笑顔で言われ、多飲・多尿・体重減少の事を強調して検査をしてもらう事になりました。
検査結果が出るまでの間点滴を受け、再度診察室に呼ばれたところ、さっきは笑っていた医師が深刻な顔をして「すぐに専門医を紹介するので入院してください」とのこと。
何しろ痛いとか苦しいとかいう症状がまったくなかったので「はぁ~」って感じで何の実感もなし。
医師曰く「血糖値が799あります、すぐに処置しないと命にかかわる事になる」と真剣そのもの、そばに居た看護師さんも深刻な顔。
私にしてみればこの時点での糖尿病に関する知識は「甘いものばかり食べてる人がなる病気」で、身内に糖尿病の人がいればその確率が高くなると言う程度のものでした。
結局「そんなひどい病状なのか?」と疑いつつ、医師からはその場から即効で行きなさいといわれたにもかかわらず、家に帰り昼飯を食べて、入院支度をしながら会社に仕事の引継ぎの電話をしたりしていたら、紹介された某大学病院から「とにかく早く来てください」と電話が入り、ようやく夕方に某大学病院へ着くと即入院・即検査でした。この時点で血糖値は852になっており、危ないところだったらしいです。
結局40日間入院しましたが、発症原因は不明で(主治医に推測では、インフルエンザのウイルスが膵臓に入ってインシュリンを作るベーター細胞に悪さをしたのではないかとのこと)いわゆる「劇症1型糖尿病」と診断され、現在インシュリン治療を続けています。
それまで年2回検診を受けており、血糖値が高かった事も、尿等が出た事もなく、インフルエンザになる前の3月に受けた検診でも血糖値は82でした。
私のようにいわゆる「メタボリックシンドローム」体系でなくても、風邪やウイルス、過剰なストレスから発症する方も大勢いることを私自身がなってみてはじめて知るようになりました。
一度糖尿病が発症してしまうと治ることはありません。将来的にはIPS細胞やES細胞、幹細胞等によるベーター細胞の再生や現在京都大学で行われている膵島移植などの根治治療に希望を託す事ができますが、できれば発症しないようにする事が一番だと思います。
1日4回血糖値測定とインシュリン注射を自分で行うのは精神的につらいですし、外出や旅行などにも気を使わなければなりません。
もし、相談者の方が「境界型」であるのなら、躊躇せず早く医師と相談して食事療法、運動療法等のアドバイスと定期健診を実行し、発症しないようにしてくださいね。