まずは
水槽
スネークヘッドは繁殖を狙うのでなければ、
その攻撃性、排他性の強さから単独飼育がリスクの少ない基本飼育です。
大きい水槽で飼えばそれだけ体も大きく成長しますし、
水量が多い方が水質の悪化、諸々の変化が緩やかなので場所が許す限り大きな水槽で飼育します。
30cm以下の小型種であれば60cm水槽が一応の目安になると思います。
ただ、あまり遊泳性は高くないので小さ目の水槽でも一応飼育は可能です。
それでも水槽の奥行きが魚の最大全長以上になるようにします。
水槽の設置場所については足音などの振動や、
中には上から覗き込まれるのをひどく嫌う個体もいるため、
床に直置きはせず水槽台を使います。
照明
個体を落ち着かせるために水草を入れているのなら勿論、
せっかく観賞するのなら照明はあった方が良いでしょう。
小型スネークヘッドであれば蓋の重しにもなります。
点灯時間は昼夜の区別が出来るようにも一定させてやりたいものです。
コケが出ない程度に程ほどに。我が家ではタイマー制御で6時間点灯です。
しかし強すぎる光ではスネークヘッドが怯え易いので
浮草を浮かべててやるなりして光を抑えるなど、注意します。
レイアウト
流木、水草などを使って好みにレイアウト出来ます。
あまりたくさん流木を使いすぎると生餌を追う際に邪魔になり、
強引に追いかけたときにSHが怪我をする事もあるので適度に使います。
小型SHであれば種類を選べば水草を植える事が出来ます。
水質の浄化に一役買ってくれるうえに、
何よりもSHを落ち着かせられるので是非とも植えたいところです。
またSHが止水を好む事からフィルターの勢いをなくすようにする場合などは
水草による酸素供給が丁度良いですね。
エアーストーンよりも酸素を過飽和状態に出来るそうですよ。(エアレーションでも勿論充分ですが)
水草の種類は根張りがしっかりしているクリプトコリネや、バリスネリア、などのロゼット型の水草が向いています。
有茎草はSHが捕食などで暴れた際にごっそり抜かれてしまう事も有りますが
しっかり根付いた有茎草は意外に耐えてくれることも・・。
また、流木や石に活着させられる水草
(アヌビアス系、ミクロソリウム系、ウィローモス等)はスネークヘッドレイアウトの定番ですね。
引っこ抜かれる心配もないし掃除の時にすぐに取り出せて掃除し易いし単純に育成し易いということもありますね。
また、ウォーターレタスやアマゾンフロッグピット、ウキクサなどの浮き草や
マツモなどの浮遊性の水草、ウィステリアなどの浮かべておいても良く殖える水草、
タイニムファなどの浮き葉を出すタイプの水草などで
水面を覆ってやるとスネークヘッドの落ち着き具合がかなり違います。
伸びて水面を覆うバリスネリアなんかも良いかもしれませんね。
ジャンプも減りますし、必須と言っても過言ではないかもしれません。
マツモを使う場合、よく殖えるので光量が少ないと光が当たらなくて
下になったマツモが枯れて水を汚すので、たまにばっさりトリミングします。
(スネークヘッドが暴れて抜かれた水草も、その下でまったりと
落ち着いているスネークヘッドを見ると悪くて戻せなかったりするんですよね。(^_^;))
水温
水温が高いと新陳代謝が活発になり餌をよく食べるようになること、
白点病などの病原菌の活動を弱める効果がある。
反面、酸素の溶存割合が高水温化により低くなる分、バクテリアの活動も鈍くなるでしょうし、
単純に給餌の量が増すのでそれだけ水を汚しますので
エアーレーション等の工夫が必要でしょう。
20℃~30℃の間で元気に摂餌し、成長も良いです。
15℃を下回ると殆ど餌を摂らなくなります(低温に耐えられるコウタイで確認)。
ですので、一般魚と同じくヒーターの設定は25~6℃でよいでしょう。
ヒーターには水温固定型のオートヒーターと、サーモとヒーターが別になった
水温調節付ヒーターが多く見かけられますが、
白点病時の高水温での治療の事も視野に入れると
後者のような水温調節機能のついたタイプの方が有用だと思います。
フィルター・水流
フィルターは自分の好みのものを使います。当然、濾過能力が高い方が良いですね。
速い流れを好まないとはいえ、止水を作ると溶存酸素が低下するので、
エアレーションをするなり水草を植えるなりして注意します。
また、よく飛び出すスネークヘッドですから、
いずれのフィルターを使用しても隙間を作らないようにします。
価格と濾過能力は必ずしも比例するわけではありませんので
財布と相談しながら適当なところで折り合いをつけましょう。(^_^)
外部フィルター
⇒濾過能力が高く、蓋の隙間を無くしやすい面から、
SH飼育に適したフィルターです。
水槽サイズ(小さすぎる)と外部フィルター(強すぎる)の容量
の組み合わせによっては水流が強すぎる事があります。
止水にする必要はありませんが
そういう場合は水流を弱める工夫が必要です。
上部フィルター
⇒セット水槽についてくることの多いフィルター。
濾過能力が高いが、フィルターに出来た隙間や、
出水口まできちんと塞ぐ必要があるので
工作に少し手間取るかもしれません。
底面フィルター
濾過能力自体は高く、密閉も簡単なのですが、
スネークヘッドに砂を掘り返す習性がある場合にはあっという間に
フィルター部分が露呈して意味をなさなくなる為、
使用は不向きと思われます。
内部フィルター
フィルターにもよりますが、大体が濾材スペースが少ないので
濾過能力も期待できないことが多いです。
ただ、濾過能力自体は工作しだいで何とかなるので
場合によってはクリア出来ます。
難点としては、モーターが水中にあるため、
夏場は水温が上昇してしまう事です。
外掛けフィルター
こちらもそのまま使うと濾過能力は期待できませんが
生物濾過を出来るようにいじる事で問題点はクリアできます。
隙間のでき方が細かくなるので、蓋作りに手間がかかるかもしれません。
また、スネークヘッドが出水口から滝登りをしようとするので
スポンジを設置してで登れなくする必要があります。右の写真では輪ゴムを使っておりますが、
切れやすいのでビニタイがオススメです。
スポンジフィルター
スポンジフィルターもそこそこ濾過能力がありまして
スネークヘッドのフィルターとして使用できます。
ただし、スポンジ一本ではやはり心もとないので
数本連結させたいですね。
エアレーション
スネークヘッドの特徴といえば、口から直接空気呼吸が出来ることですが、
「カムルチーは,酸素は主に空気から摂取し,二酸化炭素はほとんど水に排出する」
という記述が水産学会誌でなされているように水中の溶存酸素はスネークヘッド自身にはあまり影響がありません。
余談ですが、スネークヘッドが運良くこちら側を向いてアクビしたときに
口の中を覗き込んで見てください。
口の中に空気の気泡が見えます。あれを見るとなんだか改めて空気呼吸か、、と納得してしまいます。
ということで、溶存酸素はあくまでバクテリアの活動の活発の為にという意識でよいと思います。
魚は餌を口にしてから鰓の鰓耙(さいは)と呼ばれる器官で餌を濾して水を鰓から外へ排出します。
スネークヘッドはというと鰓耙が少ないそうで餌をこぼしてしまいがちになるので(健康状態にもよるが)
補助的に物理濾過に強い、投げ込み式のエアリフトフィルターを使用すると良いでしょう。
私の場合は照明を点灯中は水草による光合成、夜間はエアレーションをしています。
面倒なので両方ともタイマーですが。
ちなみにイワシなどプランクトン食が強いと鰓耙も多く長くなり
肉食魚など一口で捕食するようなタイプはその逆となるそうです。
水質・底床とその種類について
水質にしろ、水温にしろ対象となるスネークヘッドが生息する現地のそれに
近づけてやることが望ましいのは言うまでもないこととして・・・。
そもそもスネークヘッドが空気呼吸を身に付けたのは溶存酸素の少ない
(=バクテリアの活動が乏しく水質は悪化する)止水において
酸素を得、生き延びる手段であったようであることから
水質悪化には強い(水質変化とは別)とされていますが
生き物を飼う以上、最適な環境で飼ってやらなければいけませんから
できる限りリスクは減らしてやるべきだと思います。
水質をphに焦点を当てると、私はそのphの調整を、底床のみで行っています。
弱アルカリ性付近であれば大磯砂。弱酸性付近であればソイル系の底床を選ぶ。
phに関しては、よほど極端な酸性、アルカリ性でない限り、慣らすことができます。
ソイルを使用する際に、よ~く気をつけなくてはならないのは、
軟水になるが故に緩衝作用が弱く、
水をすぐ汚すスネークヘッドを飼育するとphが急降下し易くなる点です。
低phへの個体、種類ごとに耐性は異なるとは思われますが、
いずれにしても水質には注意ですね。
個人的に無難と思うのはphに影響を与えないタイプの底床ですね。
今現在、使用しているのは全てこの類
(パワーハウス特選溶岩砂や富士砂など、粒は5mm~8mmくらい)です。
上述したように、低phを好む種であっても慣らせば中性~弱アルカリ性位での飼育が可能です。
魚はphの下降には耐性がありますが、phの上昇には耐性が余りないそうなので
普段低phで飼育しているのに換水は中性の水道水そのまま、というよりは
自分の飼育しやすい水質に慣れてもらうほうが、
(中性付近で飼育⇒水質の悪化とともにややphが下降する頃に換水)
長い目で見れば変化が少なくお互い楽かな・・と。
余談ですが、アクアライフでのドワーフの現地レポでは採集されたのは
渓流脇の流れの少ないところ、phは8.5~9だったそうです。
底床の種類について
ソイル系
土を焼いて作ったもので、硬度を下げ、phを弱酸性にします。
バクテリアの定着も他の底床に比べて早く、藍藻も発生しづらく水草の育成にも向きます。
アクア用では複数のメーカが商品化しており、色、粒のサイズを好みで選ぶことが出来ます。
園芸用では昔から焼赤玉土が使われています。
赤茶色でソイルの中では明るめのものになります。
粒の大きさはマチマチですがやや大きめのものが多いです。
水で洗うことはしませんが、使用前にざるで細かく割れてしまった土やゴミを濾すとよいでしょう。
ウチで使っているソイルはこれがメインです。安いので…。
大磯砂
海岸で採取される砂利で、その採取場所ゆえに、貝殻、サンゴの欠片が混入し、
そのカルシウムが溶け出し、硬度を上げ、phを弱アルカリ性にします。
長年使用することでCO2や酸によりカルシウムを溶かされ、水質に影響を与えなくなります。
川砂利
川で採取されたもので砂状のものから砂利までサイズがあります。
水質には殆ど影響がありません。
砂状のものはその粒の小ささから厚く敷くと底の方では通水しなくなり水質を悪化させる事があるので注意します。
また川砂利のサイズ違いのもの数種類を混ぜて使うと自然な川底風になります。砂状のものを使用する場合は、厚く敷くと水の流れが悪くなり、水質の悪化、コケの発生に繋がりますので薄く敷かなければなりません。
溶岩砂
多孔質で水の流れがとてもよく、比重はやや軽め、バクテリアもよく繁殖します。
水草の根張りもよく、黒色が見た目を引き締めてくれます。
現在発売されているアクア用品としてはパワーハウス特選溶岩砂です。
粒がきっちり揃っていてキレイなのですが、やや高価なのが難か。
ちなみに園芸用品の富士砂で安価に代用がききますが、
粒