バレーファン暦24年です。
今の全日本女子は真剣に戦えば、世界で6位くらいの実力があると思います。
世界を見渡して、日本より明らかに格上だと思われるチームは、中国、ロシア、ブラジル、イタリアです。これらが世界をリードする第一トップ集団だと思います。
全日本女子は、これら4チームと100試合戦って5試合勝てるかどうかというくらい実力差があると思います。
上記トップ4チームの下に、第ニ集団が形成されるわけですが、全日本はこの第二集団に入っている段階だと思います。
ぼくの感覚では、他にアメリカ、キューバ、セルビア、ポーランド、オランダあたりが第二集団だと思っています。
アメリカとキューバは日本より強いと見る見方もありますが、キューバはここ8年くらいで弱体化してきました。3年ほど前には全日本とキューバの勝敗が五分五分くらいだったので、北京で当たっても勝算は五分五分くらいあると思っています。
アメリカも、ここ8年くらいで強くなってきただけで、それ以前の全日本はむしろアメリカに勝ち越していました。
実際に戦う日本選手はどう思っているか分かりませんが、長く日本バレー界に関わっている監督やコーチや協会関係者は、アメリカに対して決して苦手意識は持っていないと思います。
実際、つい先日のワールドグランプリのアメリカ戦でも、日本が敗れましたがフルセットまで相手を追い込むいい試合ができていました。
セルビアは06年の世界バレー(正式には世界選手権)でいきなり注目されてきたばかりの新興チームなので経験が浅いです。確かに強いですが、セルビアの実力がまだまだ本物になっているかどうか、ぼくは怪しいと思っています。
日本からやや実力が劣る第三集団として、ドミニカ、カザフスタン、タイ、韓国、ベネズエラ、ペルー、クロアチアなどが挙げられると思います。
これらのチームは、今は日本より下ですが、いい指導者にめぐり合ったりして強化が進めば、将来日本を抜いていく可能性を秘めていると思います。
それで、今行われているワールドグランプリで日本が連敗していることが心配ということですが、これは全く心配する必要がないと思います。
ワールドグランプリという大会はフルメンバーで本気で戦うような大会ではなくて、むしろ各チームが調整やテストをするような大会として位置付けられています。
今年の場合、もうすぐオリンピックを控えています。
なので、ワールドグランプリでは多少負けても少しづつ調子が上がっていればそれでいい・・・オリンピックでチームの調子がピークになっていればいい・・・各チームはそう考えているんです。
ワールドグランプリでは、新人に経験を積ませたり、新しい選手の組合せや攻撃パターンのテストが行われます。
全日本も試合によってスタメン選手が細かく入れ替わってますし、勝つことよりもまず、若いセッターの河合選手に世界レベルのプレーに慣れさせることを最優先させています。
それと、今はデータバレーの時代なので、あまり重要でない大会でベストメンバーを組んで本気で戦ってしまうと、ライバルチームにたちまちデータを取られて五輪での対策を立てられてしまうんです。
例えば、日本×アメリカの試合の観客席には、アメリカのアナリストが偵察にくるだけではありません。ロシアやブラジルや中国やあらゆるチームの偵察アナリストが日本×アメリカの試合に集まってきてコンピュータでデータを集めていきます。
今の全日本は、ライバル各国にデータを取られないために、わざと主力選手を隠して戦っている状態です。
レフト高橋とセッター竹下とセンター荒木を隠してます。荒木は左膝に痛みがあって、その休養も兼ねているみたいですが・・・。
ワールドグランプリの前半までは、エースの栗原も温存していましたね。
戦術にしても、本来なら栗原と木村がバックアタックを打つんですが、ここ6試合くらいは全く使っていないようです。もちろんこれも、データを取られないようにわざと隠しているんです。
杉山が右方向に流れるように移動して打つ「ワイド(ブロードとも言う)」という速攻攻撃も、ここ数試合はほとんど見られなくなりました。これも五輪本番のために隠しているんですね。
全日本は、選手も監督も今の時点で7連敗しようが8連敗しようが全然心配していない状態だと思います。
ぼくたちファンも、仁王立して動揺することなく全日本女子を応援していきましょう。