お子さんの場合、もともと小食ということもあるようですが、特に病気や身体の異常もなく、食べているのに肉付きが悪く成長がみられないのには、栄養の身体への吸収が悪く十分に活かされていない、ということがあるかもしれません。
栄養の吸収には、運動と睡眠、それから精神的ストレスとが相互に関連してきますが、このことを踏まえたうえで、自身の経験と知識とから説明させていただきます。
まず、成長期のピークは人それぞれです。人よりも成長の仕方が激しい人もいれば、緩やかな人もいます。
後者は成長期のピークを迎えるのがより遅いため、成長期間が前者よりも長くなる傾向があり、最終的な身長の伸び幅もより大きくなることが多いようです。
質問者のお子さんの場合は、後者かもしれません。
一般的に言われる遺伝的要素と成長(身長)との関係ですが、これには環境的な要素からの影響が大きく関わってきます。
というのは、最大身長(成長の限界点)は個人個人である程度決まっているからです。
成長とは、つまりこの遺伝子によってあらかじめ設定された限界点までいかに最大限に成長を促すか(身長を伸ばすか)、ということです。
そしてそれには、いかに身体の成長を促すかよりも、まずは成長を害するものを取り除くことが大切です。
この点に関して重要な要素が、
1.栄養 2.睡眠 3.運動 4.精神面(ストレス)
の4点になります。
1.栄養学 からのアプローチ
まず、知っておきたいのが、成長期の摂取が好ましくない食品です。
<カフェイン>
身体の成長にとって鍵となる成長ホルモンの分泌を、抑制し、栄養の吸収を阻害する働きがあります。
これを含む食品には、コーヒー、紅茶、緑茶やウーロン茶などのお茶類があります。
例外として、麦茶にはカフェインを含みせん。
<糖分>
欠かせない栄養素ですが、糖分の種類によっては、分解され使用される際に、他栄養素を消費します。
この点で有害となる白砂糖(上白糖)よりも、単独で分解作用のある蜂蜜の使用が良いです。
いくら栄養を摂っても、これらの摂取量が多いと、最大限に体内へ吸収されませんから、
栄養バランスと量に加え、これらの摂取を極力控えることが大切です。
2.睡眠からのアプローチ
質の高い睡眠が栄養の吸収を促し、成長を促進します。
その鍵となるのが成長ホルモンですが、主に睡眠中に分泌時間のピークがあります。
午後10~午前5時にかけてがおおまかなピークとなり、入眠後最も睡眠が深まる深夜0~2時前後で最も活発になります。
これはレム/ノンレム睡眠に関係するのですが、分泌が活発に促されるためにはこの時間に熟睡することが大切です。
また、日中の適度な運動と適度な日光浴が、熟睡と質の高い成長ホルモン分泌を促します。
(就寝時間30分前からの入浴や強い照明の光は熟睡を妨げます)
3.運動からのアプローチ
日光の下での適度な運動が、摂取した栄養素の体内への吸収率と成長ホルモンの分泌を高めます。
逆に過度な運動は身体への負担を、栄養の吸収を、妨げる要因となることもあります。
<成長期に好ましい運動>
適度に骨や筋肉を刺激し、骨や筋肉の縦方向への伸びを促進する動作。
(特に骨の発生点となる膝間接や足首の間接を、ジャンプの動作などで刺激作用のある動作)
バスケットボール、バレーボール、テニス、水泳など。
<好ましくない運動>
重力に逆らう形で上から重量をかけ、骨を圧迫し縦方向の伸びを阻害する作用のある動作。
柔道、レスリング、ラグビー、サッカー、相撲など。
*筋肉と骨格は連動しています。
骨の伸びは、筋肉に促されますので、強くしなやかな筋肉を身に付けることのできるスポーツが理想です。
*逆に骨や筋肉への過度な刺激は、過発達した筋肉が骨を圧迫し、骨の成長を妨げます。
4.精神面(ストレス)からのアプローチ
1~3と順を追って説明してきましたが、これが最も重要です。
精神活動の安定が、質の良い睡眠(安眠)そして、栄養の吸収や栄養活動の高まりなどに繋がってくるからです。
逆に言えば、精神面で問題やストレスを抱えていたりすると、1~3の作用に悪影響してきます。
身体はもちろん心身ともに健全な発達が促されるために、これらのうちのどれかひとつが欠けても好ましくありません。
これらが相互に作用しあって常にバランスの良い状態に保たれていることが理想です。
なぜなら身体と精神は綿密に連動しあっているからです。
また、日ごろ身に付いた生活習慣の偏りが成長を阻害していることもあります。
例えば、胡坐座りや正座、頬杖や脚組などは、骨盤や上・下半身の関節を圧迫し歪ませ、
何気ない些細な身体の歪みが、筋肉や骨格、内臓への負担を増し、身長の伸びや成長をを妨げかねません。
これらに問題があると、免疫力が低下し、身体の根本的な不調が改善されないどころか、
心身両面で様々な(ときに成長を害する)病気の要因にもなりかねません。
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そのことを踏まえたうえで、成長期に有効的なのが、ヨガの活用です。
しなやかな筋肉と骨格の発達、歪みの矯正、精神的安定と熟睡、栄養吸収や免疫力の促進・・と。
1~4すべてにおいての有効点をカヴァーする作用がヨガにはあります。
また、何よりも大切なのは、何事にもゆったりと、気持ち的な余裕を持って日々を過ごすことです。
本人やその家族が、標準と比較した成長の遅れを心配することが、一番ストレスになります。
これらの生活環境要素次第では、二十歳を過ぎてからも、まだまだ成長を続けることは可能です。
男性は一般的に、26歳まで成長が続くともいわれています。
大変長文になりましたことを、お詫びいたします。