後付で整合性を持たせようとして必死に言い回しを考えていますので
一応矛盾は無さそうに見えますが、問題なのは、それぞれの発言の場面と相手。
> 「郵政民営化を担当した大臣だった」
オレは先頭に立ってこんなに成果を出しちゃってるよ。
オレが総理に一番ふさわしいぜ。
>「郵政民営化担当大臣ではなかった」
オレ、悪く無いのにそんなに文句ばっかり言うなよ。
だってアレ、オレのせいじゃないんだから。
>「(総務相在任中の)2年間に勉強して、長期的なことを考えたら民営化した方がいいと考えた」
結局は賛成投票したしたじゃんか。
途中でちょっと反対意見持ってたってのが、そんなに悪いのかよう。
その場その場で、語る相手が別。
それぞれに対して良い顔をしようとして、
自慢だったり、責任逃れだったり、言い訳だったり。
どれひとつとして国家国民のためではなく、自分自身のための発言ばかり。
そこには、自分の投票行動や先の発言が、国民の生活や党の政治活動を
壊したり妨害したりする一助になったことに対する反省も、
責任を取ろうとする姿勢も何もありません。
口先だけで「実は内心反対だった」んだから、などと、言えば
国民の理解を得られるとでも思っていたのでしょうか。
冗談ではありません。
アレは、責任のある立場の者が決して口にしてはならない類のものです。
「悪気がなかったんだから、どんな失敗をして人に迷惑をかけたとしても、自分に責任は無い。」
と言っているのと同じです。
口実さえあれば誰でも無罪とでも言うなら、警察も裁判もこの世には必要ありません。
「結局は賛成したんだからそんなに怒らず勘弁してくれ」と言うのも虫のいい話。
国民からの反対の声が大きくなる一方で、劣勢に追い込まれる自民党の中から
ひとりだけ勝手な言い訳をして、過酷な戦線から抜け出そうとした言わば脱走兵の立場で、
今更、「オレも、お前らと同じ戦場でともに戦った同志じゃないか。怒るなよ」、と言ったところで、
裏切られた方は、はいそうですか、なとどと納得はできません。
仮にもリーダーたるものの立場で、何をどう考えればあんな発言ができるのやら。
良い大人が、この程度の配慮もできない発言を平然としてしまうのが問題なのです。
ましてや、仮にも一国の総理大臣という立場の者の口からなど、言語道断。
実際、この分だと、「公明党から散々無理を言われて進めていただけで、
実はオレ、定額給付金には反対だったんだ」とまで後になって言い出しかねません。
政治家は、言葉を武器に戦う仕事です。
自分の発言や行動と、その結果が国民生活に与える影響について、
全ての責任を持つのは最低限の常識でしょう。
ところが麻生は、その場しのぎの訂正・言い訳を繰り返すばかりで、
ひとつひとつの発言に対する責任感も何も、全く無いようにしか見えません。
それも、一度や二度ではなく、ほぼ全てにおいてです。
私は、アレは政治家としては最低のクズだと思います。
===補足===
コメント、興味深く拝読しました。
リンク先のpdfに目を通し、一部については納得。
「オレが一番総理にらふさわしい」という見方の部分については
先の愚説を取り下げさせていただきます。
ご慧眼、感服いたしました。
しかしながら、実際に議決時に賛成投票をしてしまっている以上、
郵政民営化に反対だったという発言については、やはり責任逃れでしかありません。
多数決による議会運営においては、投票こそが各議員の意思です。
そこに至るまでの胸中での葛藤や苦悩には無関係に、
投票行動と、そこから生じた結果にのみ、議決に参加した議員には、責任と義務が生じるのです。
「郵政民営化担当大臣ではなかった」発言は、「言いがかり」という言葉からもわかる通り、
自分に責任が無かったという趣旨で語られました。
しかし、賛成投票をしてしまった時点で責任は確実に発生しています。
最初から賛成だった者も、最後に賛成に回った者も、全く同様に、です。
実は反対だったが立場上の損得から丸め込まれることを(愚かにも)選択した
自民党議員は他にもいくらでもいますが、彼らは皆、現在の反郵政改革という風潮での逆境を、
言い訳をせず甘んじて受け止めています。
自己の行動・発言に対して責任を負う。
これは、社会人としては最低限の規範です。
> 確かに一国の総理大臣としての発言は不適切かと私も思いますが、
> そんなに騒ぐほどのことでしょうか。
>
あの発言は、十分に騒がれるだけの要件を満たしていますよ。
逆に、あれほどの「さもしい」発言をするリーダーを
誰も糾弾しようとしない社会など、存在するべきではありません。
集団のリーダーたる者の最大の仕事は、その構成員と集団全体の行動の
全てにおいての責任を、己の一身に引き受けることです。
麻生はそれを放棄しました。
リーダーが率先して、党の集団意思に逆行する内心を示したこと、
ましてやそれが、クライアントである国民から(政治家と官僚は国民に税金で雇われている労働者です)
巨大な反対を受けている中で、自分ひとりだけの立場を改善・浮揚させようなどという、
いじましくもみみっちい動機で為されたものである以上、酌量の余地は全くありません。
一個人としても愚かで軽蔑されるべき行為を、国政のトップにある者が
公然と行うことは、決してあってはならないことです。
> また、定額給付金に反対だった、ということをもし言われるとしたら、
> 今の段階でどこかしらでもれていると思います。
>
麻生の後付け言い訳発言は、枚挙にいとまがありません。
まさかここまで恥知らずな発言を、本当にするなどとは私も思いたくはありませんが、
責任逃れのために何を言い出してもおかしくない、と思われるだけの言動を
これまで実際にしてしまっている以上、「実は定額給付金には反対だった」などと
恥知らずな事を言い出す可能性を、完全に否定はできません。
現在の内心については無関係です。
今回の話の順列とその流れにこそ珍しく矛盾が無いものの、これまで他に関しては穴だらけ。
何より問題なのは、責任感と羞恥心、眼前の相手以外への配慮の欠如です。
目の前の相手を言いくるめることにのみ集中し、あちらを立てればこちらが立たず。
他の者から怒りを買うのが当然の、その場しのぎで無思慮な発言を繰り返すのは、麻生の得意技ですから。
後年、周り中から攻め立てられれば、このくらいの事は口走ってもおかしくはないと思います。
> > 政治家は、言葉を武器に戦う仕事です。
> 個人的にはこうあるべきではないと思います。
>
誤解が生じているようですので、
「政治家は、自分の言葉と投票をはじめとする政治活動全てに責任を持ち、
言論の府である議会で政敵と戦うのが仕事です。」
と、より詳細に言い換えましょう。
意見のすり合わせこそが議会の本質である以上、その場その場での妥協は当然あるでしょう。
その妥協も、関わった各政治家個人個人の責任においてこそ為されるものでなければなりません。
後になって泣き言を言って同情を買おうなど以ての外。
言動に一致を見ることができない者を、誰が信頼できますか。
麻生は、郵政民営化に賛成しました。
その事実は決して覆りません。
今になって「元々は反対だった」などと言い訳されても「だからどうした」としか言いようがありません。
それが、自己保身のためでしかないことが誰の目にも明らかである以上、
「麻生の発言は、己の責任に対して全く無自覚なもので、全く信頼が置けない」、と
思われてしまうのは自明の理です。
そのような者が首相として政治を動かすなど、決してあってはならないことだと私は確信いたします。